
古き良き商都、守り継がれるまちなみ
宇陀松山
古事来歴
Origin

宇陀市の南西部に位置する宇陀松山は、中世から江戸時代にかけて松山街道の宿場町として栄えた歴史ある城下町。松山城の城下として整備された町並みには、当時の商家や医家、町人の暮らしを今に伝える町家が軒を連ねる。特に薬の商いが盛んで、「薬草のまち宇陀」として全国に名を馳せた。古地図に見る碁盤目状の街路は今も残り、歴史を感じさせる重厚な屋敷と白壁の蔵が、往時の繁栄を静かに物語っている。歩くたびに、時代の香りと人々の息づかいが感じられる。

2006年、宇陀松山の町並みは重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定され、地域住民の手によって今も丁寧に守られている。宇陀松山のシンボルである松山西口関門は、16世紀末から17世紀初頭に造営された、かつての城下町に残る唯一の建造物。門が黒塗りであることから「黒門」とも呼ばれている。
季節の風景を楽しみ、歴史にふれる癒しの町歩き
Walking around




宇陀松山の魅力は、季節ごとに違う表情を見せてくれること。春には通り沿いの桜がやさしく咲き誇り、初夏には青々とした木々が光を受けてきらめく。秋になると町全体が紅葉に包まれ、白壁と赤いもみじのコントラストがとても美しい。冬の静けさもまた格別で、雪化粧をまとった町家の並びは、まるで絵画のよう。季節を感じながらの散策は、写真を撮るのが楽しくなる。通りを歩くほどに、ゆっくりと移り変わる日本の四季を五感で味わえる。
観光というよりも、暮らしの風景に触れる旅。心のスピードを少しゆるめて、自分のペースで町を歩いてみると、忙しい日々の中で忘れかけていた穏やかな時間を思い出せるはず。
写真は順に、①手前の看板から、いせ弥の奈良漬、堀井松月堂の銘菓きみごろも。②薬の館の入口から望む町並み。③宇陀紙の仲買商であった山邊家の住宅。天明五年(1785)頃の建築。④創業300余年の久保本家酒造。軒先に杉玉がみられる
所在
Location
| 宇陀松山 松山西口関門 |
| 〒633-2170 奈良県宇陀市大宇陀下茶 |
※重伝建地区、宇陀松山のシンボルである松山西口関門を示しています
